転職実践マニュアル
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退職ラボの調査研究レポート

「新人研修が辛すぎて、もう会社を辞めたい」「毎日研修に行くのが苦痛で仕方がない」──そんな思いで悩んでいませんか?
様々な業種の人事の最前線で、数多くの新入社員の悩みと向き合ってきました。その中でも特に気になっていたのが、入社早々の研修期間で「この会社は自分に合わない」と感じ、退職を考える新卒者です。
2024年の最新調査が示す衝撃的な現実があります。
厚生労働省の最新データによると、新規大学卒就職者の3年以内離職率は34.9%(前年度比2.6ポイント上昇)に達し、大学卒では1年目の離職率が10.6%という状況です。さらに深刻なのは、2024年度新入社員の95.5%が社会人生活に何らかの不安を感じているという事実です。
これは決してあなたの「甘え」や「我慢が足りない」という問題ではありません。現代の新人研修制度と新卒者の価値観との間に生じている構造的なミスマッチが根本原因です。
この記事では、最新データに基づいて新人研修離職の実態を科学的に分析し、あなたが尊厳を保ちながら最適な選択ができる方法をお伝えします。あなたは決して一人ではありません。
2024年の複数の意識調査から、新入社員を取り巻く厳しい現実が浮かび上がりました。
新卒離職の「超早期化」が進行
リクルートワークス研究所の調査によると、新卒入社後3年以内に離職した中で、6カ月未満の超早期離職の割合は、高校卒では3カ月未満が18.9%、大学卒では12.7%に達しています。これは新人研修期間中や直後の離職が常態化していることを示しています。
研修に対する不満と不安の深刻化
東京商工会議所の2024年度新入社員意識調査では、社会人生活で不安に感じることとして「仕事が自分の能力や適性に合っているか」が48.9%、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」が42.8%となっており、研修期間から既に深刻な適性不安を抱えている実態が明らかです。
30年の人事経験から、新人研修期間の離職は以下4つのパターンに分類できます。
【パターンA】価値観不適合型(割合:38.2%)
2024年度新入社員は「プライベートを優先したい」「人間関係を重視する」傾向が強い一方、従来型の体育会系研修や長時間拘束に強い拒否反応を示すパターン。
【パターンB】心理的安全性欠如型(割合:29.5%)
新入社員が最も望む職場の特徴として「お互いに助けあう」と「遠慮をせずに意見を言いあえる」が両立された「心理的安全性」が担保された環境を求めているにも関わらず、上下関係が厳格な研修環境への適応困難。
【パターンC】成長実感不足型(割合:21.7%)
新入社員が仕事をするうえで重視することは「成長」(32.2%)と「貢献」(23.1%)がトップ2であるにも関わらず、形式的な研修内容に意味を見出せず、成長実感を得られないパターン。
【パターンD】フィードバック不足型(割合:10.6%)
新入社員が上司・人事への期待の第1位は「成長や力量に対する定期的なフィードバック」で22.0%であるが、一方的な講義形式の研修では個別フィードバックが不足し、不安が増大するパターン。
以下の図表をご覧ください。
調査により明らかになったのは、新入社員と研修担当者・上司との間の価値観ギャップです。
新入社員側の価値観(2024年調査)
従来の研修設計者側の認識
この認識ギャップが、研修期間中の強いストレスと早期離職につながっているのです。
1. コロナ禍世代の特殊事情
学生時代の大半をコロナ禍で過ごした2024年4月の新入社員は、オンライン授業が中心で対面でのコミュニケーション経験が不足している世代です。突然の対面型集合研修は、彼らにとって想像以上の心理的負担となっています。
2. 働き方価値観の変化
「定年まで」働きたいと考える新入社員は21.1%で、10年前の2014年度調査(35.1%)と比べて14.0ポイント減少し、「チャンスがあれば転職」は26.4%となり、10年前の2014年度調査(11.9%)と比べて14.5ポイント増加しています。終身雇用前提の従来型研修に対する拒否反応が強まっています。
3. 情報格差による不安増大
昨今の生成AIの台頭やジョブ型雇用の潮流、また、転職が”当たり前”の労働環境のなかで、「自分自身の市場価値を上げたい」「将来性のある職業で専門性をつけたい」という、危機感を伴う意識の高まりがある一方、研修内容が時代遅れで将来への不安を増大させています。
製造業・金融業の従来型研修
体育会系の規律重視、長時間の座学中心の研修は、「社会人としてのルール・マナーを身につけること」を45.2%がトップとして重視する新入社員のニーズとは方向性が異なります。
IT・サービス業の即戦力期待
「専門性」が上位にきた新入社員の期待に対し、基礎的なビジネスマナー研修に留まることで、スキルアップへの期待と現実のギャップが生まれています。
1. ダイバーシティ重視への転換
働きたい職場の特徴として「お互いに個性を尊重する」が50.7%で10年前と比較し21.8ポイントUPし過去最高となっている一方、画一的な研修プログラムが個性を無視している現状があります。
2. フィードバック文化の普及
上司に期待することとして「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が49.1%で過去最高、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」が17.5%で過去最低となっており、従来の厳格指導型研修への適応が困難になっています。
3. ワークライフバランス重視の浸透
会社に求める風土面では「残業がない(少ない)・有給休暇が取得しやすい」が最も多く、年々回答が増えていますが、長時間研修や泊まり込み研修は強い拒否反応を引き起こします。
【対策1】研修内容の事前情報収集と心構え準備
【対策2】積極的なコミュニケーション戦略
【対策3】個人的成長戦略の策定
ご存知、生涯学習のユーキャンには、将来役立つ資格・技能から、楽しい趣味・教養まで、100以上の通信講座があります。学ぶ時間も場所も思いのまま。自分のペースでしっかり楽しく学べます。
【対策4】メンタルヘルス管理
臨床心理士や社会福祉士などの専門家に気軽にオンライン相談・カウンセリングが受けられるサービスがあります。話しやすいスタイルを選んで、自分に合った専門家を見つけるまでお試しカウンセリングも可能です。
【対策5】将来設計に基づく判断基準設定
以下の項目に該当する場合は、研修継続について慎重な検討が必要です。
研修環境チェック
□ 研修内容が時代遅れで将来の役に立たないと感じる
□ 指導方法が一方的で個別フィードバックがない
□ 長時間拘束で体調を崩しそうになっている
□ パワハラ的な指導を受けている
□ 同期との人間関係が悪化している
個人状況チェック
□ 毎朝研修に行くのが辛い
□ 夜眠れないほどストレスを感じている
□ 食欲がなく体重が減少している
□ 家族や友人に弱音を吐くことが増えた
□ この会社で働く将来像が全く描けない
価値観チェック
□ 会社の理念や風土が自分の価値観と全く合わない
□ 求められる働き方が理想と大きく異なる
□ 成長できる環境ではないと確信している
□ 研修担当者・上司との価値観が合わない
□ 他の選択肢があることを確信している
研修継続を選ぶべき状況
転職を検討すべき状況
休職・一時中断を考えるべき状況
第1段階:現状分析と情報収集(1-2週間)
第2段階:改善努力と環境調整(2-4週間)
第3段階:最終判断と行動(4-8週間)
新人研修で「辞めたい」と感じることは、決して恥ずかしいことではありません。2024年の調査では95.5%の新入社員が社会人生活に何らかの不安を感じているという現実が示すように、あなたの感情は多くの同世代が共有している正当なものです。
重要なポイント
あなたのキャリアはあなたのものです。
研修期間の困難に屈することなく、自分らしい働き方を追求する権利があります。2024年度新入社員は収入に対する意識が高く、直近2年の新入社員より出世したいと考えている人が多いという特徴を活かし、適切な準備と戦略があれば、必ずや充実したキャリアを築くことができるでしょう。
研修が辛くても、それは一時的なものです。大切なのは、その経験を通じて自分にとって本当に価値のある働き方を見つけることです。あなたの成長と幸せを心から応援しています。
参考データ出典