退職代行を使われた側(会社)のやりがちな注意点と適切な対応を解説

退職代行を使われた(会社)側の注意点や対応方法を解説

退職代行を使われた(会社)側は、落ち着いて事実確認を!

この記事のまとめ

  • 使われた側は、まず落ち着いて事実確認。
  • 感情的になりがちだからこそ、冷静に対応する。
  • トラブル防止の観点からも手続きは遅滞なく。
  • 退職代行を使われたけど、穏便に済ませる方法はない?
  • 代行業者から会社に連絡がきたんだけど…。
  • 退職代行業者の適切な対応方法が知りたい。

退職代行サービスは、人手不足などで退職できない、自分から退職を言い出せない人が職場をバックレずに辞める手段の一つです。とはいえ、そこまで認知されているサービスではないため、代行業者から連絡が来て、どうしたらいいのか分からないといった意見も少なくありません。

そこでこの記事では、退職代行を使われた側の適切な対応方法とやってしまいがちな注意点について解説していきます。

この記事を読むメリット
  • やってしまいがちな注意点が分かる。
  • 適切な対応方法が分かる。
  • 退職代行を利用する側の理由が分かる。

退職代行を使われてしまったときの対応方法や注意点が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

退職代行を使われた側(会社)は穏便に対応しましょう。

退職代行を使われた(会社)側がやってはいけない5つの注意点

退職代行を使われた(会社)側のやってはいけない注意点

退職代行から連絡してきた場合、むやみやたらに行動してはいけません。
ついやってしまいがちな注意点は、以下の通りです。

  • 退職代行業者に暴言・圧力をかける
  • 業者からの連絡を無視する
  • 退職希望者本人に連絡をする
  • 賠償請求を請求する
  • 退職を認めない

退職代行業者から連絡が来たからといって、感情的になり誤った対応してしまうと会社側が不利になることもあります。会社側が不利にならないためにも、やっていましがちな注意点をそれぞれ、おさえておきましょう。

退職代行業者に暴言・圧力をかける

退職代行業者から連絡が来て、やってしまいがちな行動は、感情的になり、暴言や圧力をかけるなどが挙げられます。

退職代行を利用してまで退職しようとする労働者や退職代行業者に対して、暴言をを吐いたり、やめさせないという圧をかけたりすると、大きな問題に発展することになります。特にハラスメントへの風当たりが強くなっている昨今は、パワハラであると労働問題について、追及される恐れが高まるので、感情的にならず、冷静に対応するようにしましょう。 

業者からの連絡を無視する

退職代行業者からの連絡が来ても納得がいかないからと業者からの連絡を無視することはやってはいけません。退職代行業者の運営元によっては、不誠実交渉として、 トラブルになるだけでなく、不利な立場になってしまうことも…。

退職代行業者からの連絡がいたずらなどである可能性も考えられます。しかし、たとえいたずらであったとしても、まずは気持ちを落ち着けて、業者からの連絡に冷静に対処することを心がけましょう。

退職希望者本人に連絡をする

退職代行業者を利用して退職する労働者は基本的に会社側からの連絡を望んでいません。 むやみやたらに連絡を取ろうとすることは、退職希望者に対して、不要なストレスを与えてしまいかねません。本当に労働者のことを考えるのであれば、退職希望者本人に連絡することを避け、退職代行業者を介して連絡を取るようにしましょう。

損害賠償を請求する

退職代行業者を利用したからといって直ちに損害賠償請求をすることはやめましょう。たとえそれが脅し文句であったとしても、 不用意な発言をすることは、スムーズな退職手続きを阻む原因となります。

退職希望者が会社の経営に影響を与える重大顧客を抱えている場合や重大な案件を抱えているなど特定の場合を除いては損害賠償を請求をしたとしても認められることはほとんどありません。

実際に損害賠償を請求できるケースとしては、おもに以下の3通りです。

  • 退職時の引き継ぎを一切しない。
  • 会社の企業秘密を外部に漏らす。
  • 貸与物などを横領する

損害賠償を請求する手続きは、問題解決までに時間や労力をかなり消費するため、よほどのことがない限りは、損害賠償請求をしなくて済むように退職希望者に対しての注意喚起をおこなう方が無難と言えるでしょう。

退職を認めない

退職代行業者から連絡来たときにやってしまいがちな例として、「退職を認めない」ことが挙げられます。退職代行の利用いかんに問わず、労働者は、退職する権利が民法上で認められており、会社が一方的に阻むことはできません。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法第627条

とはいえ、有期雇用契約を結んでいる場合は、正当な理由がないと退職代行業者を利用したとしても、自由に退職することはできません。

(やむを得ない事由による雇用の解除)

第六百二十八条

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用元:民法第628条

退職代行業者から連絡が来た場合は、感情的にならず、その場での回答を避け、労働者のさまざまな状況把握に努めることが最優先と言えるでしょう。

退職代行業者から連絡が来たときやってはいけない注意点について確認してきました。基本的に突然連絡が来ることがほとんどなので、いずれもやってしまいがちです。まずは、落ち着いて冷静に行動することを心がけることが重要と言えますね。

退職代行を使われた側は、どのように立ち振る舞うのがよいのでしょうか?次の項目で退職代行を使われた側の正しい対処法について見ていきましょう。

退職代行を使われた(会社)側の正しいの対処方法

退職代行を使われた(会社)側の正しい対処方法

退職代行業者から連絡が来ても適切に対応するためにあらかじめ以下の内容をおさえておきましょう。

  • どこの退職代行業者かを確認
  • 労働者本人の意思を確認
  • 雇用形態・勤務状況を確認
  • 回答書を作成
  • 退職手続きをおこなう
  • 貸与物・残置物の回収および返却

それぞれの内容についてみていきましょう。

1. どこの退職代行業者かを確認

退職代行業者から連絡が来た場合、まずはどこの退職代行業者なのかを確認しましょう。退職代行業者の中には以下の三つの運営団体が存在します。

  • 一般企業
  • 労働組合法人
  • 弁護士事務所

退職代行業者によって対応できる範囲や対応できない場合が存在します。「退職代行業者から連絡が来た」と慌てずに、まずはどこの退職代行業者かを確認しましょう。

2. 労働者本人の意思を確認

退職代行業者から連絡が来たからといってすぐに対応する必要はありません。まずは、労働者本人が「本当に退職する意思」があるのかを確認しましょう。労働者本人の意思を確認するには、以下の方法があります。

  • 民間企業:申込書など
  • 労働組合:加入証明書
  • 弁護士:受任通知 
  • その他:本人にメールなどで確認

退職代行業者から連絡したからといって安易に対応してしまうといたずら出会った場合労働者側に不利益が生じてしまうこともあります。トラブルを防止する観点からも、労働者本人の「退職する意思」をしっかりと確認した上で対応しましょう。

3. 雇用形態・勤務状況を確認

退職の意思を確認した後にすぐに対応せず、一旦保留にして、労働者の雇用形態や勤務状況を確認しましょう。 

  • 雇用の特記事項の有無
  • 有期雇用契約の有無
  • 会社負担契約の有無

有期雇用契約を結んでいたり、担当している業務によっては、すぐに退職されてしまうと会社の業務に支障をきたしてしまう場合、必要な引継ぎなどを行ってもらうような配慮が必要です。

会社の持ち出しで留学や夜学などの学費を捻出していた場合もすぐに退職を認めず、必ず弁済計画書を提出してもらうなどの対応を求めましょう。

4. 回答書を作成

退職日や退職条件(引継ぎや有給休暇など)を決定したら、必ず書面にて回答をおこないましよう。
口頭での回答でも問題ありませんが、「言った言わない」などと水掛け論や回答内容を湾曲して受け取られてしまうリスクもあるため、書面にてやりとりを行うと事実誤認やトラブル防止の観点からも役立ちます。

もし、回答書に異論があり、要望を返答された場合も書面にて、要望を提出してもらうようにしましょう。

5. 退職手続きをおこなう

回答書に異論がなければ、遅滞なく退職手続きを行います。

  • 離職票などの事務処理
  • 部署内の引継ぎ
  • 官公庁への届け出

退職手続きは、遅滞なく速やかに対応しましょう。
手続きが遅れれば遅れるほどに社内の各所でさまざまな反感や退職者からの催促、場合によっては労働基準監督署からの是正勧告が入り、自社の立場が不利になりがち。

自分たちの身を守るためにも速やかに処理して、火種を残さない配慮に注力しましょう。

6. 貸与物・残置物の回収および返却

貸与物は、会社の資産です。加えて、退職者の残置物は、退職者の資産です。退職者の残置物を勝手に処分してしまうと所有権侵害や損害賠償を請求され、トラブルになりがちです。

一方で貸与物に関してもボールペンから社外秘資料までさまざま。悪用され、社外秘情報を外部に流出させないためにも確実に回収しておきましょう。

使われた(会社)側は知らない退職代行を使うおもな3つの理由

退職代行を使われた(会社)側が知らない退職代行を使う理由

退職代行を利用される側は、「なぜ使うのか分からない」といった意見がほとんど。退職代行を使う側も好んで利用しているわけではありません。退職代行を利用する側のおもな理由は以下の通り。

  • 会社の社風が合わない
  • 人間関係がうまくいかない
  • ほかにやりたいことがある

退職代行を利用する側の理由をあらかじめ理解し、中長期的な社内改善を図ることで、有能な人材の流出にもつながります。

理由1. 会社の社風が合わない

退職代行を利用する人の中に「実際に入社したけど、会社の社風が合わない」といった意見が見られます。具体的には、以下の2つ。

  • 会社の対応が良くない。
  • 会社を仕組みが合わない。

職場の雰囲気や仕事そのものにやりがいを感じていても、会社の社風が合わないと言った理由で会社を去ることがあります。

会社の待遇が良くない。

実際に入社したものの入社の前後では、少なからずギャップが生じます。

働く前は、「これくらいで良い」と思っていたものが、働き始めてみると「やっぱりこれくらいの待遇が良い」と感じたり、大学の同級生や地元の友人などの待遇と比較してみて、「自分はこんなもんなのか」と周囲とのギャップを悪い方向に捉えてしまい、退職に至ることがあります。

特に社会人経験の少ない新卒や第二新卒の方が退職のきっかけとなりやすい理由の一つと言えるでしょう。

会社の仕組みが合わない

会社は、実際に働いてみないと分からないことがほとんど。会社としては、通例のようになっているイベントや会社の仕組みであっても、「ここまでやらないとダメなの?」、「こういうのがあるなんて聞いてない」などと社風を受け入れられないことがあります。

特に社会人経験の少ない新卒や異業種転職の方が退職のきっかけとなりやすい理由の一つと言えるでしょう。

理由2. 人間関係がうまくいかない

退職代行を利用する人の中に「人間関係がうまくいかない」と悩み、サービス利用を決意することが挙げられます。

  • 上司とうまくいかない
  • 先輩とうまくいかない
  • 同僚とうまくいかない

人間関係がうまくいかない理由は、根深く、当人はかなり悩んでいても、第三者からすると気づかないことがほとんどです。

上司とうまくいかない

上司とうまくいかない人は、そもそも上司と年齢が離れていることが多く、世代間によっての当たり前が通用しないことがほとんど。

「俺の若いときはこうだった」、「大変な思いは買ってでもする」などといった意見は、中間管理職の多くが発言してしまいがちですが、若い世代の人からは、全く受け入れられない意見です。目上の人ほど、目線を下げたコミュニケーションを心がけるのが無難といえるでしょう。

先輩とうまくいかない

先輩とうまくいかない人は、先輩に自分自身の姿を重ねられないと感じている人が多く、「社畜になっている先輩の姿にがっかり」という意見も…。社会人経験の差があるので、致し方ない部分はありますが、先輩側としては、後輩の純粋な気持ちを汲み取ってあげる配慮は必要といえるでしょう。

同僚とうまくいかない

同僚とうまくいかない人は、仲間であるはずの同僚と距離感がうまくつかめず、「職場で居辛い」、「影でなにか言われてるんじゃないか」と自分を自分で苦しめてしまっている場合がほとんど。親しき仲にも礼儀ありではありませんが、「他人は他人、自分は自分」と割り切った線引をする必要があると言えるでしょう。

理由3. ほかにやりたいことがある

退職代行を利用する人の中に「ほかにやりたいことがある」と早く次にいくためにサービス利用を決意することが挙げられます。

  • 自分探しをしたい
  • 別の業界に関心が出た
  • 別の会社に行きたい

退職代行利用者が置かれた状況や場面によって、理由はさまざまですが、人間関係がうまくいかないことや会社と合わないことと相まって、なんとなくサービス利用をするケースが見られます。

退職代行を利用する側の理由を見てきましたが、長い時間を過ごす職場であるほど、さまざまな不平や不満が生じてくるものだと言えますね。一方で、会社側として退職代行を使われるリスクや問題はあるのでしょうか?次の項目で、退職代行を利用された側に生じる問題点やトラブルについて、みていきましょう。

退職代行を使われた(会社)側の問題点やトラブル

退職代行を使われた(会社)側のよくあるトラブルや問題点

退職代行業者を使われた側に生じる問題点は、おもに以下の3点。

  • 外部の評判が落ちる
  • 残された従業員の負担が増える
  • 人間関係トラブルが生じる

退職代行サービスを利用された側に生じる問題点やトラブルは、残された側に生じる負担や環境の変化が挙げられます。

実際にどういった問題が生じるのか?それぞれの内容について、みていきましょう。

1. 使われた会社の外部評判が落ちる

退職代行サービスによって退職した労働者がいるとわかると、会社の信頼や評判に影響が出てくることがあります。

「働く人がのびのび働けない会社」、「コンプライアンスに問題があるのでは?」などと、外部であるからこそ、さまざまな憶測が飛び交ってしまいがちです。

退職代行業者や退職者がSNSなどで実名公開してしまうこともあり、いつ、どこで情報が流れてしまうかわかりません。事実を意図的に歪めて発信されてしまった場合、社内でも悪い評判や噂が流れ、結果的に社内外の信用を失い、退職者を増やしてしまうことにもつながるので、細心の注意が必要です。

2. 残された従業員の負担が増える

退職代行を利用して従業員が会社を退職した場合、まともな引き継ぎ業務をおこなわずに退職してしまうケースがほとんど。残された従業員にもれなく引き継ぎ作業などのしわ寄せが来てしまいます。

それぞれの従業員が担当している業務のほかに退職者の穴埋めをするために一人ひとりが負担する業務が増えて、従業員の不満にもつながってしまうので注意が必要です。単に業務内容が増えるだけでなく、慣れない業務に従業員の身体的にも精神的にも大きな負担となってしまうことも…。

残された従業員の負担が増えることで生じるトラブルを防ぐため、退職代行による退職の場合も引き継ぎは、しっかり行なっておきましょう。

3. 使われた会社の人間関係トラブルが生じる

退職代行を利用して会社を去っていく従業員が出た場合、退職者の周辺にいる人間関係にトラブルが生じることがあるため、充分な注意が必要です。

  • 退職代行を使うなんて、クズがすること
  • 自分も退職代行を使って、さっさと辞めよう
  • 引き継ぎもせずに退職する従業員がいる会社は信用ならない

営業職で社外の人と関わる職種の場合、人間関係トラブルが社内だけにとどまらず、社外にまで飛び火することもあります。

特に人間関係に関するトラブルは、単純に緘口令を敷くだけで済むことではありません。退職者と交流のあった人物と退職者の関係性をしっかりと確認した上で、慎重な対策を講じる必要があるといえるでしょう。

退職代行を使われた側(会社)は穏便に対応するのが吉

退職代行を使われた(会社)側は事実確認と冷静な対応で穏便に対処しよう

これまでに退職代行を使われた側の注意点や対応方法、利用する側の理由などについて、解説してきました。これまでをふりかえり、以下にまとめとします。

この記事のまとめ

  • 使われた側は、まず落ち着いて事実確認。
  • 感情的になりがちだからこそ、冷静に対応する。
  • トラブル防止の観点からも手続きは遅滞なく。

世間的には、「退職代行はクズ」、「退職代行を使うなんてありえない」などといった批判的な意見も少なくありません。人によっては、批判的な意見に同意してしまいがち。とはいえ、批判的な意見に同意したところで退職代行を使われなくすることは不可能です。

であれば、もっと従業員一人一人に目を向け、退職代行を使わなくて済むような労働環境を整えるのが最善策だと思いませんか?

退職代行の批判的な意見に対する解説は、以下の記事で詳しく解説しています。
≫退職代行はクズ?サービス利用はクズではない、円満退職したいだけ!
≫退職代行が甘えと言われる原因や甘えじゃない5つの理由を解説


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