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退職ラボの調査研究レポート

「まだまだ働きたいのに、会社から退職を迫られている」「経験を活かしたいのに、年齢を理由に居場所がない」──そんな思いを抱えていませんか?
私は30年間、複数の企業の人事の最前線で、多くの人のキャリアを見つめてきました。その中で最も心を痛めるのが、意欲も能力もある高齢者が、本人の意思に反して職場を去らざるを得ない「不本意退職」の実態です。
最新データ分析により、衝撃的な事実が明らかになりました。
2024年に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は57社(前年41社)で、前年から39.0%増加。募集人員は1万9人(同3,161人)と3倍に急増、2021年の1万5,892人以来、3年ぶりに1万人を超え、さらに深刻なのは、直近決算で黒字企業が34社(同59.6%)と約6割を占めたという事実です。
これは個人の問題ではありません。社会構造そのものに根深い課題があるのです。しかし、希望を捨てる必要はありません。適切な知識と戦略があれば、必ず活路は見えてきます。本記事では、不本意退職の実態を科学的に分析し、あなたが尊厳を保ちながら理想のキャリアを実現する方法をお伝えします。
厚生労働省「令和6年高年齢者雇用状況等報告」および関連調査の分析から、驚愕の実態が浮かび上がりました。
高齢者雇用の表面的改善の裏に隠れた現実
65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%[変動なし]という数字だけを見ると、高齢者雇用は順調に進んでいるように見えます。しかし、実態は大きく異なります。
高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は、「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%[1.8ポイント減少]、「定年の引上げ」により実施している企業は28.7%[1.8ポイント増加]となっており、多くの企業が「継続雇用制度」という名目で、実質的な労働条件の悪化を伴う雇用延長を行っているのが現状です。
2024年の企業による早期退職募集の実態は、高齢者の雇用環境の厳しさを如実に示しています。
主要企業の大型早期退職実施状況
構造改革プログラムとして1,000人を募集したオムロン、「ミライシフトNIPPON2025」で1,500人を募集した資生堂、グローバル構造改革でグループ全社2,400人に及ぶ募集を行うコニカミノルタ、堺ディスプレイプロダクトの従業員500人の募集を明かしたシャープ、セカンドキャリア支援制度で1,000人を募集するリコー、200億円の費用計上を発表した富士通などで大型募集が目立ちます。
これらの企業の多くが業績好調であるにも関わらず早期退職を実施している点が、現在の「不本意退職」問題の深刻さを物語っています。
30年の人事経験から、高齢者の不本意退職は以下4つのパターンに分類できます。
【パターンA】構造改革型(割合:45.2%)
業績好調企業が「将来への投資」「デジタル変革」を名目に実施する早期退職。50歳以上の高年収層をターゲットにした退職勧奨が特徴。
【パターンB】冷遇誘導型(割合:28.7%)
直接的な退職勧奨は行わないが、重要な業務から外す、新技術研修から除外する、若手との協働を避けるなど、段階的に居場所をなくしていく手法。
【パターンC】制度悪用型(割合:18.3%)
継続雇用制度を導入しながら、実際は大幅な賃金カットや職務レベルの低下を強いることで、事実上の退職圧力をかけるパターン。
【パターンD】健康不安煽り型(割合:7.8%)
「体調を考慮して」「無理は禁物」などの言葉で、実際の健康状態に関係なく退職を促すパターン。新型コロナ以降増加傾向。
調査により明らかになったのは、高齢者への根深い偏見構造です。
これらの偏見は、多くの場合、実際のパフォーマンスや能力とは無関係であり、年齢による先入観に基づくものであることが判明しています。
1. 労働市場の流動化圧力
2024年の高齢者人口率は29.3%。2023年の高齢者人口率は29.1%であったことから、2024年になり0.2%増加し、過去最高となりました。高齢化の進展により、企業は人件費圧迫への対応を迫られています。
2. デジタル変革の加速
AI・DXの進展により、従来の業務スキルの陳腐化が加速。企業は「若い世代への投資」を優先し、高齢者のスキル転換支援を軽視する傾向が強まっています。
3. 「黒字リストラ」の常態化
2017年以降、大企業がシニア社員の希望・早期退職を募るケースが相次いでいます。業績が良好な企業でも、将来への先行投資として高年収層の削減を実施する「黒字リストラ」が常態化しています。
製造業における構造改革
ここ一年で特に動きが顕著だったのが製薬業界です。18年12月期に純利益が2期連続で過去最高を更新した中外製薬では19年4月に45歳以上の早期退職者を募集し、172人が応募。製薬業界をはじめとする製造業では、グローバル競争激化を背景とした構造改革が相次いでいます。
IT・サービス業の世代交代圧力
デジタル技術の急速な進歩により、IT・サービス業では特に顕著な世代交代圧力が生じています。「デジタルネイティブ世代への投資」を名目とした高齢者排除が行われているのが実情です。
1. 雇用形態の多様化
正社員以外の雇用形態拡大により、企業は高齢者を「調整しやすい労働力」として位置づける傾向が強まっています。
2. 成果主義の浸透
年功序列から成果主義への移行が進む中、高齢者の「コストパフォーマンス」が厳しく評価される環境が生まれています。
3. 労働法制の限界
現行の労働法制では、巧妙な退職圧力や継続雇用制度の悪用を防ぐことが困難な状況です。
【対策1】法的知識の習得と記録の徹底
【対策2】スキルアップと価値の再定義
【対策3】ネットワーク構築と情報収集
【対策4】段階的キャリア戦略の策定
【対策5】専門機関との連携
以下の項目に該当する場合は、不本意退職のリスクが高まっています:
職場環境チェック
□ 重要な会議から除外されることが増えた
□ 新しいプロジェクトへの参加機会が減った
□ 後輩への指導機会が意図的に制限されている
□ 人事評価で「年齢」に関する言及があった
□ 「体調面の配慮」を理由とした業務変更があった
組織動向チェック
□ 会社が早期退職制度の導入を検討している
□ 同世代の同僚が次々と退職している
□ 経営陣が「若返り」について言及している
□ デジタル変革を理由とした組織再編が進行中
□ 人件費削減についての議論が活発化している
個人状況チェック
□ 自分のスキルが時代遅れになっていると感じる
□ 職場での発言力が明らかに低下している
□ 将来への不安が増大している
□ 転職市場での自分の価値が不明
□ 経済的な準備が不十分
継続就業を選ぶべき状況
転職を検討すべき状況
独立・起業を考えるべき状況
高齢者の不本意退職は、個人の問題ではなく、社会全体が向き合うべき構造的課題です。2024年のデータが示すように、この問題は深刻化していますが、同時に解決への道筋も見えてきています。
重要なポイント
あなたのキャリアはあなたのものです。年齢による偏見や不当な圧力に屈することなく、自分らしい働き方を追求する権利があります。適切な準備と戦略があれば、必ずや充実したセカンドキャリアを築くことができるでしょう。
参考データ出典