看護師にとって、配置転換や部署異動は避けて通れない現実です。
配置転換や異動には、「施設側からの命令」と「看護師側からの希望」と、大きく2つに分けられます。
特に、「施設側からの命令」である異動に対しては、強いストレスや不安を感じる看護師は少なくありません。新しい環境、新しい仕事、新しいマニュアル・知識・スキル・ルール、新たな人間関係の構築など、変化が伴うものがあまりにも多いからです。
私にも、部署異動の経験があります。うわさ通りの3年目。初めての異動は、環境の変化に対する不安が大きく、異動後も慣れるまで大きなストレスを感じていました。
この記事では、部署異動に伴うストレスの原因を探り、それに対処する方法を具体的にご紹介します。どのようにして前向きに取り組み、キャリアの成長につなげていけるのか、考えてみましょう。
異動に伴う不安や心配・ストレスの正体
部署移異動に伴う不安や心配・ストレスの正体を、まず押さえておきましょう。
環境の変化への恐れ
新しい部署に移ることは、慣れ親しんだ環境を離れることを意味します。
これまで築いてきた日常のリズムや仕事の流れが大きく変わることへの不安は自然なものです。また、新しい医療機器や業務システム、マニュアル、ルールなどに適応しなければならないという課題も待ち受けています。
新しい専門知識や技術の習得への不安
異なる診療科への異動は、これまでとは全く異なる新たな専門知識や技術の習得が必要となります。
このスキルセット、技術や知識の習得に対する不安は、多くの看護師が感じるストレスの大きな要因です。
人間関係の再構築に関するストレス
新しい部署では、新たな上司や同僚との関係構築が必要となります。
新しい職場の雰囲気に馴染み、これまで築いてきた信頼関係を作り直し、コミュニケーションスタイルの特徴や傾向を理解し、新しいチームワーク築かなければならないという不安は大きいものです。
看護師の異動は拒否できないのか
特別な事情がある場合の異動の拒否や、そもそも異動が内容にするためにできることを、考えてみます。
異動命令への対応
多くの場合、異動は病院の人事方針に基づいて行われるため、完全に拒否することは難しいのが現実です。
就業規則に、「就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある」といったことが記載されていれば、異動命令は業務命令です。組織の一員として働く以上、合理的な理由なく業務命令に背くことはできないからです。
ただ、異動や配置転換は施設側の嫌がらせではありません。それなりの理由があってのものと、理解しておきましょう。
- 人員調整
- 組織の活性化
- キャリアアップのサポート
- 看護師の異動希望
しかし、全く選択肢がないわけではありません。以下のようなアプローチで、移動を拒否できる可能性を探ってみましょう。
【部署異動を免れるためにできること】
- 異動の理由や目的について上司に詳しく説明を求める
- 現在の部署で継続して働きたい理由を明確に伝える
- 異動先での勤務がどうしても難しい理由を伝える
- 異動先の選択肢がある場合は、希望を出す
病院によっては、事前に部署異動アンケートがあります。アンケートで希望を明確にしておくことも大切です。
上司との交渉のポイント
上司と交渉する際は、感情的にならず、冷静に自分の立場を説明することが重要です。
- 自分のキャリアプランを説明する
- 希望の部署や代替案がある場合は、それを提案する
- 中途採用であれば、雇用契約や面接時の話を伝える
- 家庭の事情など特別な事情がある場合には、事情を説明する
- 移動の理由によっては、現在の部署での貢献や成果を具体的に示す
- 異動に伴い、退職を考える場合にはそのことを伝える
希望する部署へ変更や異動の取りやめをしてもらうには、「スキルアップ」などの前向きや理由や、他の看護師からも理解を得やすい「家庭の事情」等を上司に伝えてみるといいでしょう。
ただし、最終的に異動が避けられない場合は、その決定を受け入れる心の準備も必要です。
退職を引き合いに出すなら、異動が決定となった場合の、身の振り方も検討・準備する必要があります。その覚悟を持っている場合にだけ、勧められる方法です。
異動命令が不当なら?
もし、移動命令に違和感を感じるような場合には、労働組合などに相談してみることもできます。
実際に、下記のようなに第三者から見ても納得の理由がある場合には、「人事権の濫用」とみなされ、部署異動が取り消しとなった事例もあるそうです。
- 不当な動機や目的を感じる
- 業務上、異動の必要性を感じられない
- 部署異動によって大きな不利益が生じる
異動か退職か:苦しい選択肢の比較
部署異動を避けられない場合には、退職を考えたり、退職を引き合いに出して交渉することもあるでしょう。
まずは、異動・退職のそれぞれのメリットやデメリットを理解しておきましょう。
異動を受け入れるメリット・デメリット
- キャリアの幅が広がる
- 異なる視点から看護を学べる
- 新しいスキルや知識を習得できる
- 組織内でのネットワークが広がる
- キャリアアップに繋がりやすい
- 短期的にはストレスや不安が増える
- 新しい環境に適応するための時間と労力が必要
- これまでの専門性が一時的に活かせなくなる可能性がある
- 異動先の業務が自身の適性や希望に合わない場合、目標が定まらない、モチベーションが下がる
退職を選択した場合の影響
退職し、新しい仕事を探し転職・再就職する場合、自分の希望にあった職場で働ける可能性があります。
一方で、配置転換・部署異動よりも不安やストレスを抱える可能性が高いことも理解しておきましょう。「中途採用看護師」にも、それなりの苦労があるのです。
- 新しいキャリアパスを探求できる
- ストレスから解放される可能性がある
- 自分の希望する環境で働ける可能性がある
- 新しい職場を見つけるまでの経済的精神的不安
- キャリアの中断によるスキルの低下
- タイミングによっては再就職時に不利になる可能性がある
- 環境の変化や人間関係の構築という面では異動よりも大変
自分に最適な選択をするために
どちらを選択するにしても、十分な情報収集と冷静な判断が必要です。周囲の信頼できる人々に相談し、多角的な視点から決断することが重要です。
- 長期的なキャリアゴールを考える
- 現在の経済状況と家庭環境を考慮する
- 異動先での成長の可能性を評価する
- 転職も視野に入れ、具体的なプランを立てる
すぐに退職・転職しないとしても、異動に不満があるような場合、よりよい可能性やキャリアアップを望むのであれば、転職サイトに登録しておくことをオススメします。
職場や同僚とは全く関係のない、転職のプロに相談してみることで、自分の中のモヤモヤがスッキリすることもあります。登録・相談は無料ですから、精神的にも時間的にも余裕をもって転職活動をすることで、よりよい職場と出会える可能性も高くなります。
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異動が決まったら:ストレス軽減のための準備
異動が決まったら、異動日までに準備できることもあります。準備次第で、異動後の不安が多少緩和されたり、ストレス軽減を図ることもできるでしょう。
心理的な準備:マインドセットの変換
異動が決まった時点で、前向きな姿勢を持つことが重要です。
- 異動を成長の機会として捉える
- 新しい経験への好奇心を育てる
- 「変化は常に存在する」という事実を受け入れる
- 自分の適応力と柔軟性を信じる
実務的な準備:新部署の情報収集と学習
- 異動先に挨拶をしておく
- 異動先の部署について可能な限り情報を集める
- 必要な新しい知識や技術について事前学習を始める
- 可能であれば、異動先の先輩看護師にアドバイスを求める
- 引き継ぎ事項を整理し、スムーズな移行を心がける
サポートネットワークの構築
- 同じ時期に異動する同僚がいれば、互いにサポートし合う関係を築く
- 家族や友人、同僚に自分の状況を説明し、精神的なサポートを求める
- メンター制度がある場合は、積極的に活用する
- 必要に応じて、カウンセリングなどの専門的なサポートを検討する
やっぱり異動は辛い・難しい場合:退職を考える前にすべきこと
やっぱり異動は辛い、なんらかの事情で異動は受け入れられないような場合には、退職し新しい職場を探すことも考える必要があるでしょう。
現状の客観的な評価
一次的な感情や勢いだけで退職しても、いいことはありません。まずは、現状分析をし気持ちの整理をしましょう。
- 具体的にどの部分が辛いのか、詳細に分析する
- 一時的な困難なのか、長期的な問題なのかを見極める
- 自分の努力で改善できる部分はないか検討する
キャリアプランの再考
- 現在の異動が長期的なキャリアにどう影響するか再評価する
- 自分が本当にやりたい看護の形を明確にする
- 現在の職場でのキャリアアップの可能性を探る
他の選択肢の探索
- 院内での別の部署への異動可能性を上司や人事部門に相談する
- パートタイムや時短勤務など、勤務形態の変更を検討する
- 転職についても情報収集する
退職を決断する前に、十分な時間をかけて考え、可能な限りの選択肢を検討することが重要です。
でも、異動命令がでてから異動日まで1ヶ月程度であることが多いです。のんびり構えて考えているうちに、時間がどんどん過ぎます。実際には、数日以内で判断しコトを進める必要があります。
異動を断り退職するにしても、退職の準備もありますし、一般的に看護師が転職するには2〜3ヶ月かかります。分からないことや不安が一気に爆増しますので、専門的なキャリアカウンセリングを受けることも有効な手段の一つです。
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異動や転職 新環境でのストレス管理
異動にしても、転職・再就職にしても、新しい環境に馴染むまでにはそれなりの不安やストレスはつきものです。新人に戻ったつもりで、イチから始めましょう。
新環境への適応テクニック
異動、転職、再就職に関わらず、新しい環境に慣れるためのテクニックです。
郷に入っては郷に従え
何はともあれ、まずはコレ。前職の方がよく見える事もあるかもしれませんが、新しい職場のルール、やり方に馴染みましょう。
改善した方がいい点があるとしても、それは慣れてからでも遅くありません。比べたり、批判・否定することなく、謙虚に受け止め、まずは慣れていきましょう。
新人のような気持ちで働く
同じ職場とはいえ部署が変われれば、あなたは新人同様です。マニュアルもルールも、どこに何があるのかさえもわからないのです。新人に戻った気持ちで働きましょう。
そうすれば、変なプライドもなくなり、わからないことを質問したり、フォローを依頼しやすくなります。相手を立てることにもなりますので、好感を持たれやすくなります。
一通り覚えて動けるようになるのは、最低でも1ヶ月は必要と言われています。マニュアルを読み込み、わからないことは確認し、1つずつ覚えていくしかないのです。
周りとのコミュニケーションを大切にする
周りのスタッフとのコミュニケーションも大切です。
新しい部署とは言っても、同じ職場です。あなたも情報収集したように、新しい部署でもあなたの情報収集を行なっています。
人間関係は、悩みの種にもなりますが、挨拶と自己紹介をし、相手のことも知り、相手に敬意を払い、焦らずにいい関係を築いていきましょう。
自分だけのルーティン表を作る
1日の業務の流れ、自分の担当業務などをまとめて「マイルーティン表」を作ってみましょう。
最初から完成形を目指す必要はありません。何度修正しても構わないのです。それでも、マイルーティンがわかれば、慣れない環境でも動きやすくなります。
最終的には時間が解決してくれる
今の部署に入ったときと同様に、最終的には時間が解決してくれます。
最初の1週間は、不安や戸惑いも大きく辛いかもしれませんが、1日1日と乗り越えていくことで、新しい環境にも、人間関係にも、少しずつ慣れていきます。
異動でも、転職でも、これは同じです
ストレス解消法の実践
異動・転職・再就職に限らずですが、日常的にストレスを発散・解消し、心身ともに整えておくことは何よりも重要です。
- 規則正しい生活リズムを維持する
- 適度な運動や趣味の時間を確保する
- 自分にあったリラックス方法を取り入れる
- 十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がける
困ったときの相談先
- 直属の上司や先輩看護師に相談する
- 病院の人事部門や看護部に相談窓口があれば活用する
- 労働組合がある場合は、必要に応じて相談する
- 外部の看護師向けカウンセリングサービスの利用を検討する
異動を乗り越え、成長の機会とするために
部署異動は確かに大きなチャレンジですが、同時に貴重な成長の機会でもあります。以下の点を心に留めておきましょう.
- 変化は恐れるものではなく、学びの源として捉える
- 自分のペースで適応していくことを許容する
- 困難に直面したら、一人で抱え込まず周囲に相談する
- 新しい環境での成功体験を積み重ね、自信を築いていく
- 異動経験を通じて得た多様な視点を、今後のキャリアに活かす
看護師としてのキャリアは長く、一度の異動が全てを決めるわけではありません。この経験を通じて得られる学びや成長が、将来のあなたを支える大きな力となるはずです。
ストレスや不安を感じることは自然なことですが、それを乗り越えることで、より強靭で豊かな看護師としての人生を歩むことができるでしょう。看護師としてのあなたの成長と成功を心から応援しています。