人間関係に悩んでいる看護師さんへ〜人間関係の重要性・悪化しやすい理由・あなたが今できる対処法

人間関係に悩んでいる看護師さんへ〜人間関係の重要性・悪化しやすい理由・あなたが今できる対処法

看護業界では、人間関係の悩みはつきものです。

病院にしても、クリニックにしても、限られたスタッフで毎日業務を回しているのですから、人間関係も濃くなります。しかも、人間関係の良し悪しが、業務の質の向上や働きやすさ、モチベーションに直結するのですから、その重要性は痛感してきました。

この記事では、看護師が人間関係に悩みやすい理由や、影響、対処法などを具体的にご紹介します。どのようにして前向きに取り組み、自分にとっても、患者さんにとっても、よりよい環境となるのか一緒に考えてみましょう。

目次

看護師にとっての人間関係の重要性

極めて初歩的なことですが、人間関係は本当に重要です。

看護師として働く「あなた自身」にとってもですが、「看護」という業務に対しても、大切なことなのです。今、人間関係に悩んでいる看護師さんにとっては、面倒なことでしかないかもしれませんが、どうか諦めないでください。

医療現場における協力の必要性

看護の仕事は、一人では決してこなせません。患者さんのケアから緊急時の対応まで、常にチームワークが求められます。良好な人間関係は、このチームワークの基盤となります。

患者ケアの質と人間関係は相関関係

スタッフ間の関係が良好であれば、情報共有がスムーズになり、患者さんへのケアの質も向上します。

逆に、人間関係が悪化すると、コミュニケーションエラーが増え、患者さんの安全にも影響を及ぼす可能性があります。

職場満足度やQOL向上に直結

職場の人間関係は、私たちの仕事の満足度に大きく影響します。良い関係性は仕事へのモチベーションを高め、燃え尽き症候群の予防、看護師自身のQOL向上にも関わります。

なぜ看護師の人間関係は悪化しやすいのか

看護師にいじめが多い理由とも被りますが、人間関係が悪化しやすい要因を簡単に整理しておきます。

看護師にいじめがのはなぜ?その理由は

ストレスの多い職場環境

患者さんの命に関わるプレッシャー、長時間労働、慢性的な人手不足など、ストレスフルな環境がいじめの温床や人間関係の悪化の要因となります。

看護師は、緊張感を持って、脳をフル回転させて、常に臨機応変に業務に取り組む必要があります。中には困った患者さんやそのご家族もいます。死に立ち会うこともあります。医師との関係性もあります。

ストレスをしっかり解消できないと、イライラして感情的になったり、攻撃的な態度になったり、責任感から周囲に対しても自分と同レベルを要求してしまったりする看護師も少なくありません。態度や頻度によるとはいえ、相手の看護師との関係性にこじれが生じると、人間関係の悪化や、いじめに発展してしまうことがあるのです。

ヒエラルキーの存在と権力構造

経験年数や職位による看護師特有の階層構造が、時として権力の乱用、パワハラにつながることがあります。

上司は自分の部下を思うように動かしていいと考えたり、、
自分より仕事ができる同僚や後輩ナースに嫉妬したり、、
グループや派閥を作り、自分とは異なるグループや派閥の人に厳しくあたったり、排除したり、、
被害者であった自分の過去の経験から、新人や中途採用看護師などで厳しくあたることを繰り返したり、、

パワハラが横行している環境であれば、職場全体が人間関係に対して鈍感になっていて、そもそもで問題視されていないこともあるのです。

閉鎖的な職場環境

看護師の職場は閉鎖的なことが多いです。そのため、外からも見えなければ、外も見えません。

職場のローカルルールがほぼ確実に存在します。ローカルルールは、業務を回すには便利なこともありますが、新人・中途採用・異動後の看護師は、慣れるまで時間がかかります。看護師の異動が少なく、お局様が幅を利かせているような場合には、ローカルルールがアップデートされていないことも珍しくありません。

看護という専門職であるが故、閉鎖的であるのは仕方のないことでもありますが、人間関係悪化の要因ともなっているのです。

コミュニケーション不足

シフトの変則的な勤務体制により、同じチームのメンバーと顔を合わせる機会が限られることがあります。

申し送りなどはありますが、必要最小限のコミュニケーションしか取れず、人間関係を深める機会が少なくなりがち。それが、誤解や摩擦を生みやすくします。

世代間ギャップと価値観の相違

ベテランナースと若手ナース、あるいは中堅どうしでも、価値観や仕事に対する姿勢の違いから軋轢が生じることもあります。

看護師の人間関係改善のために自分でできる対処法

人間関係の悩みは尽きません。職場を変えても、新しい環境での人間関係に悩まされます

ですから、自分でできる対処法を身につけることが、最大の防御になるのです。

言われ尽くしていることでもありますが、次のようなことを意識してみましょう。全部こなそうとする必要はありません。できることから、できる分だけ。必ずあなたのプラスになる、それを信じて少しずつ取り組んでみてください。

  • 人は常に人間関係の中で生きていると自覚する
  • 笑顔・挨拶・感謝を忘れない
  • チームの仕事であることを意識する
  • ネガティブな態度・発言は慎む
  • 価値観の違いを受け入れる
  • 中立の立場を探る
  • 適度に距離をおく
  • 周囲との信頼関係を築く
  • セルフケアをする
  • 定期的な振り返りと自己改善

人は常に人間関係の中で生きていることを自覚する

1人でできる、1人で生きていく、1人で頑張る… どんなに「1人」を願っても、人間は1人で生きていくことはできません。人間関係の中で生きているのです。看護師という職業はもちろん、人としても、人間関係は避けられないものなのです。

プライベートであれば、苦手な人は避けることもできますが、仕事ではそうもいきません。苦手意識を持っている相手と話すことには、大きなストレスを感じるものですが、少しでも良好な関係を築くための努力も必要です。

  • 挨拶程度でも積極的に話しかけてみる
  • 相手の美点を探す
  • 「この人が好き」と思いながら話す

「苦手だな…」と思いながら話をすると、相手にも伝わりますし、自分も構えてしまいます。

苦手意識があっても、「この人好きだな」「この人いい人だな」と自分に言い聞かせてからコミュニケーションするのもオススメです。コミュニケーションが増えると、徐々に苦手意識がなくなり、相手も悪い気分はしないので、関係が改善することも珍しくありません。

みちるん

私も、これを取り入れています。
苦手な先輩の顔をみたら「この人が好き」って呪文のように唱えてました。そのうち、苦手意識もなくなり、楽になりました。

笑顔・挨拶・感謝を忘れない

礼儀正しく、真摯に仕事に向き合うことは、信頼につながり、円滑な人間関係につながります。これは、看護師としても、人としても、大切なことです。

  • 笑顔で接する
  • 気持ちよく挨拶をする
  • 感謝を忘れず、きちんと伝える

チームの仕事であることを意識する

「自分の仕事」という意識ではなく、「チームの仕事」という意識を持ち、割り切りましょう

  • 仕事と割り切る
  • 報・連・相は欠かさず丁寧にする
  • 困っている相手は積極的に手を差し伸べる
  • 必要な時には「ノー」という勇気を持つ

チーム内での役割を果たすことに集中しましょう。

ただし、自分の限界を知り、適切に自己主張することも大切です。

ネガティブな態度・発言は慎む

ネガティブな言動や表情・態度は、周囲の雰囲気も悪くするだけでなく、自分の印象も悪くします。

意識してネガティブな態度や発言を慎み、ポジティブな表現に言い換えたり、気持ちを切り替えることが大切です。うまくいかなかったことも、学びの機会と捉え、「この経験から何を学べるか」といういう視点を持ち、言語化することで、気持ちの切り替えにもつながります。

価値観の違いを受け入れる

人はそれぞれ異なる価値観を持っています。それぞれ暮らしてきた環境が異なるのですから、価値観も考え方も異なるのは当然なことです。違和感を感じても、振り回されることなく、業務に集中しましょう。

  • 他人は変えられない
  • 変えられるのは自分だけ
  • 相手の人格や価値観を尊重する

どうしても受け入れられない場合には、無理に受け入れなくてもいいのです。「そういう人もいるんだな」「そういう考え方もあるのか」と受け流してもいいのですから。

みちるん

私の呪文は「いろんな人がいるものだ」です。

中立の立場を探る

3人以上集まると、考え方は分かれるものです。先輩看護師や同僚看護師の間で考え方が分かれ、間に挟まれてしまうこともあります。

倫理的に間違っているような極端な場合は別ですが、片方の意見ばかりを受け入れることは、別な考えを持つ人を否定することにもなります。業務の効率や人間関係を考慮し、中立の立場で意見を取り入れることも大切です。

難しい場合には、双方の意見をよく聞くことからはじめてみましょう。「聞き上手」さんは、良好な人間関係を維持するためのスキルの1つです。

もちろん、自分自身も偏った考え方は禁物です。偏った立場や言動を繰り返すことで、大切なことを見落としたり、信頼関係に影響がでることもあります。

みちるん

逃げの呪文は「そうなんですね、難しいですねぇ…」。
「わかる」「私もそう思う」などは、完全同意と捉えられるので要注意。

適度に距離を置く

めんどくさい人間関係に振り回されないためには、適度に距離をおくことも有効です。

過度な親密さや期待を持たないよう、持たれないよう、仕事は仕事、プライベートはプライベートと線引きするといいでしょう。適度な距離を保つことは、冷静な判断を可能にし、自分を守ることにも繋がります。

みちるん

一度転職すると、同期もいないただの中途。
辛いこともありますが、適度な距離感は保ちやすくなります。

周囲との信頼関係を築く

自分が相手を信頼するように、自分自身も周囲から信頼されるような言動を心がけることも大切です。

模範生のようになる必要はありません。報連相をしっかりする、時間や約束は守る、挨拶をきちんとする、感謝の気持ちを表すといった、社会人としての基本ができていることがなによりも重要。そして、業務に集中することです。

信頼できる上司に相談する

個人では対処しきれない場合には、信頼できる上司に相談してみましょう。

その時は、自分の感情ではなく、具体的な事実を伝えることが重要です。アドバイスをもらえたり、問題のある看護師へ注意喚起してもらえたり、なんらかの対処をしてもらえる可能性もあります。

上司自身に問題がある場合や、上司に相談しても動いてもらえない場合は、人事労務担当者など、別の相談窓口に相談する方法もあります。

セルフケアをする

忘れがちなのが、セルフケア。プライベートでは、自分をしっかり労ってください。

  • 睡眠や食事などの健康管理
  • ストレスケア
  • リラックスやリフレッシュ
  • 自己肯定感を高める

人間関係に悩み始めると、ネガティブな感情に押し流され、自己否定しやすくなります。自己肯定感が低くなると、ストレスを感じやすくなり、他人の言動に過敏に反応するようになり、悪循環を生み出しやすくなるので、注意が必要です。

悩んでいる、疲れている時こそ、自分のいいところ、頑張っているところを認め、自己肯定感を高めるようにしましょう。自己肯定感を維持できると、気持ちに余裕が生まれ、人間関係などに一喜一憂したり振り回されたりしなくなります

良好な人間関係を維持するためには、自分自身の健康管理は重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、趣味の時間確保など、セルフケアを普段以上に大切にしてください。

定期的な振り返りと自己改善

自分の言動や態度を定期的に振り返り、改善点を見つけることも必要です。自己成長は、周囲との関係性向上にもつながります

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日本看護協会の『看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン
少し長いのですが、時間のある時に目を通しておくことをおすすめします。

人間関係改善は好循環をもたらす

人間関係の改善は、仕事にも、プライベートにも好循環をもたらします。

でも、一朝一夕には成し遂げられません。日々の小さな努力の積み重ねが必要なのです。焦らずにゆっくり取り組みましょう。

患者ケアの質の向上

スタッフ間の関係が良好になれば、情報共有や協力体制が強化され、結果として患者さんへのケアの質が向上します。

職場満足度アップ

人間関係が改善されれば、仕事への意欲も高まります。職場へ行くことも楽しみになり、自分の仕事にもより誇りを持てるようになります。

キャリアアップと成長

良好な人間関係は、新しいスキルを学ぶ機会や、キャリアアップのチャンスも増やします。周囲からの信頼が厚くなれば、より重要な役割を任されるようにもなるでしょう。

自己成長と周囲への好影響の相乗効果

自分自身が成長し、周囲との関係性が改善されれば、それが職場全体の雰囲気を変える原動力ともなります。結果、看護の現場をより良いものに変えていくことができ、好循環が生まれます。

解決しないなら〜人間関係の悪い職場で働くメリットは無い

残念ながら、明らかに職場環境が悪い、自分の言動を見直してもどうにもならない、改善の兆候も見られない、、、そんな場合には、退職・転職の準備を始めましょう。

人間関係の悪い職場で働き続けるメリットはありません。自分自身の健康を保つためにも、自分の成長のためにも、新しい職場を探すことをオススメします。

少し休めるのであれば、できるだけ早く退職し、休養してから心機一転再就職するのがオススメです。

経済的事情などで休めない場合には、転職活動をしながら退職の準備をする必要があります。その際には、看護師専門の転職エージェント(看護師転職サイト)を利用することを強くオススメします。

希望に沿った案件の紹介、面接や書類のサポート、新しい職場との条件交渉、キャリアアップの相談など、全部無料です。登録や、やり取りには少し手間もありますが、それ以上のリターンがあることは間違いありません。

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より良い看護環境を目指して、自分にあった選択を

看護師にとって、人間関係は難しい問題です。

でも、あなたは決して1人ではありません

大丈夫、必ず道は開けます。より良い環境で働くこともできるはず。どうか諦めないで。
あなたや、あなたの大切な人たちのために、勇気ある一歩を踏み出して、自分にあった選択をしてください。

私も、何度も信頼できる先輩ナースに支えてもらいました。直接あなたの支えになることができないかもしれませんが、私はあなたを応援します。

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この記事を書いた人

みちるんのアバター みちるん 元看護師のサイト運営者

子育て中の元ナース。

病棟勤務中に妊娠&休職。復職後、医療事務、派遣ナース、訪看、特養施設で勤務し、家庭の事情で退職。現在は在宅ワーカー。

過去のキビシイ職場環境、退職・転職経験から学んだことを、悩み多き看護師に向けて発信しています。

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