看護師のバーンアウト〜燃え尽き症候群への対処方法や退職するなら理由はどうする?

看護師がバーンアウトする理由 燃え尽き症候群への対処方法 退職理由の書き方

看護師は、患者の命を預かる仕事であるため、責任感やプレッシャーが大きく、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥りやすい職業です。バーンアウトを経験した看護師の中には、退職を決意する人も少なくありません。

この記事では、バーンアウトで退職を考えている看護師向けに、対処法や退職についてまとめました。今のあなたの辛い状況が、少しでも改善されることを願っています。

目次

バーンアウト・燃え尽き症候群とは

バーンアウトシンドローム燃え尽き症候群)について、厚生労働省では次のように説明しています。

それまで意欲を持ってひとつのことに没頭していた人が、あたかも燃え尽きたかのように意欲をなくし、社会的に適応できなくなってしまう状態

e-ヘルスネット(厚生労働省) バーンアウトシンドローム

英語では「燃えるきる」ことを意味するバーンアウト。仕事や職業上のストレスによって、心身ともに疲弊し、仕事への意欲ややりがいが失われてしまう状態のことで、「燃え尽き症候群」とも呼ばれます

バーンアウトの主な症状は?

社会心理学者クリスティーナ・マスラークが、バーンアウトの重症度を判定する基準として挙げた、バーンアウトの症状には以下の通りです。

情緒的消耗感
 心身ともに疲れ果て、仕事に対する意欲ややりがいが失われる
脱人格化
 患者や同僚を客観的にしか見られなくなり、共感や感情移入ができなくなる
個人的達成感の低下
自分の仕事に意味や価値を感じることができなくなる

具体的には、次のようなものがあります

  • 朝起きられない
  • 仕事に行きたくない
  • 気力が低下する
  • 不眠症状が出る
  • 体の不調が増える
  • 気分が落ち込む
  • 心身が疲弊する
  • 自信を失う
  • ストレスや不安が大きくなる
  • 仕事の生産性が落ちる

これらの症状が続くと、仕事のパフォーマンスが低下したり、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症したりするリスクが高まります。

バーンアウトが看護師に多いのはなぜ?

看護師は、患者の命を預かる責任重大な仕事です。また、夜勤や残業などの長時間労働や、患者の容態急変などの緊急事態への対応など、常に高いストレスにさらされています。体力的にも精神的にも大きな負担となり、バーンアウトに陥りやすい職業と言えるでしょう。

患者や家族との関係構築は、看護師にとって重要な仕事ですが、時には難しいこともあります。患者や家族の要望に応えられない、患者や家族からの暴言や暴力にさらされるなど、コミュニケーションの難しさがストレスの原因にもなります。

他にも、医師や他職種との人間関係のストレス職場環境の悪さ、時には看護師自身の仕事に対する理想の高ささえも、バーンアウトを引き起こす要因となり得ます。

バーンアウトになる前にできることは?

バーンアウトを防ぐために、本来は職場や社会全体で取り組むことが重要です。

  • 職場環境の改善:残業や夜勤の削減、メンタルヘルス対策の充実など
  • 社会的な理解の促進:バーンアウトの症状や原因に関する知識の普及など

そうは言っても、看護師自身が対処するしかないのが現状とも言えます。言い古された対処法ではありますが、なんとか自分のために自分をケアしてあげてください。

  • 今の状況を認める
  • 仕事とプライベートのバランスを保つ
  • ストレス発散の時間をきちんと確保する
  • メンタルヘルスの専門家に相談する

まずは、自分の今の状況を認めてあげましょう。ただの疲労を超えてしまっていることを、自分自身で認め、過保護すぎるくらいに、自分を大切にする時間を確保してみてください

バーンアウトしているのが、あなた自身ではなく、大切な人や家族、親友だったらどのような対応をするか考えて、同じことを自分にしてあげてくださいね。

同僚や上司に相談する」方法もありますが、職場環境や相手によっては、解決どころか撃沈する可能性もあるのでご注意ください。

ストレス対策の書籍はたくさんありますが、個人的なオススメはこちら。軽快な口調とユーモアに引き込まれ、なんとかなるような気がしてきます。

みちるん

私は筋トレ派ではありませんが、Testosteroneさんの本が好きです。
ちなみにX(もとTwitter)もフォローしてます。

バーンアウトが原因で退職すべきか悩む時の判断のポイントは?

心身ともに疲弊し、バーンアウトしそうになったら、あるいはもうバーンアウトしていたら、、、職場環境を変えることを考えるいいタイミングかもしれません。退職するかどうかを判断するポイントはいつくかあります。

  • 今の自分の状況を把握する
  • 周囲の人に相談する
  • 退職以外の選択肢を検討する

ヘトヘトだとは思いますが、現状を整理し把握しましょう。仕事だけが原因なのか、プライベートに原因はないのか、一時的なものなのか、これからも長く続くのか、、、

家族や友人、自分の周りの信頼できる人に相談するのもいいでしょう。話すことで気持ちが和らいだり、サポートしてもらえる可能性もあります。

相談した相手が、「みんなそうだよ」「私もそうだよ」「そんなの甘え」「私が○○の時には〜」という返しをする方であれば、その人は今のあなたにとってふさわしい相談相手ではないかもしれません。その時は、メンタルヘルスの専門家などの第3者に相談することをオススメします。

そして、退職以外の選択肢も検討してみましょう。一時的に時短勤務にしたり、担当業務を変えてもらったり、しばらく休みを取ったり、家族にサポートしてもらったり、家事などを外注して時間を作ったり、、、なにか方法があるかもしれません。

みちるん

あなたの体と心の健康を取り戻すために、できるだけいい方法を探ってみてくださいね

バーンアウトで看護師退職するなら退職理由はどうする?

退職することを決めた場合は、退職理由をどのように伝えるか悩む方も多いでしょう。でも、辞めるのですから、あまり深く考える必要はありませんよ。

  • 退職理由を具体的に伝える必要はない
  • 退職理由をポジティブな言葉に言い換える
  • 体調不良・病気で退職することを明確に伝える

嘘をつくことはよくありませんが、退職理由は正直に具体的に伝えなければならないものでもありません

一般的には、ポジティブ表現に言い換える方が、辞めやすくなります。ただ、バーンアウトだと、それさえも言えない状況かもしれません。そういう時には、「体調不良で続けられない」「大きなミスを犯す前に辞める」ことを、明確に伝える方がいいでしょう。

バーンアウトが理由の退職届の文例は?

退職届の理由はこれだけで大丈夫です。

この度、一身上の都合により、勝手ながら、令和○○年○月○日をもって退職いたします。

フォーマットやテンプレートは、ネット上に多数ありますので、使いやすいのをご利用ください。(例:マイナビ 退職届・退職願の書き方と違いとは / 外部リンク)

バーンアウトが理由のなら退職届はいつ出す?

退職を決めたら、まずは就業規則を確認します。民法では14日あれば退職できるのですが、就業規則ではそれ以上の期間を定めていることも多いです。職場の独自ルール(6ヶ月前など)まで気にしていると、辞める前に自分が壊れてしまいますので、気にするのは就業規則で十分でしょう。

就業規則に則り退職希望日を設定したら、早々に師長や上長に退職する旨伝えましょう。引き留めの可能性はありますが、「体調不良で働けないから辞める」ことを明確に、引き下がらずに、伝えることが大切ですよ。

みちるん

あなたはもう十分に頑張った。心身ともにすでに疲弊しているのです。
職場に迷惑かけることも気になるでしょうが、あなたが深刻な状況になる前に、事故やトラブルなどを起こす前に、心を決めて退職してもいいんですよ。

バーンアウトで看護師退職後の転職活動はどうする?

バーンアウトで退職した後は、収入面でも心配もあり、すぐにでも転職活動を始めたくなるかもしれませんが、まずはしっかり休養しましょう。

職場が変わることで解決することもあるでしょうが、燃える尽きるほど疲弊していたのに、新しい職場で不慣れな環境で働きはじめたら、さらに体調が悪化する可能性もあります。休養期間があっても、今まで築いてきたキャリアが無駄になるわけではありません。一度立ち止まり、心身ともに整える方が、長い目でみればきっとプラスになりますよ。

休養期間ですから、体調を整えることが第一ですが、余裕がでてきたら次の準備も始めましょう。

  • 自分のキャリアやスキルを見つめ直す
  • これからの働き方をじっくり考える
  • 転職エージェントを利用し、自分に適した職場を探す
  • 面接や書類の準備をしっかりする

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まとめ:

バーンアウトは、看護師にとって深刻な問題です。バーンアウトを防ぐためには、仕事とプライベートのバランスを保ち、ストレス発散の時間をきちんと確保することが大切です。あなたが、患者さんや大切な人、家族や友人にそうするように、あなた自身も過保護なくらい大切にケアしてあげてください。

体調が戻れば仕事も続けられるでしょうし、続けることに困難さを感じるのであれば、退職していいのです。心身ともに疲弊し辛い状況から、早く抜けだし、穏やかな日々が過ごせるよう願っています。

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この記事を書いた人

みちるんのアバター みちるん 元看護師のサイト運営者

子育て中の元ナース。

病棟勤務中に妊娠&休職。復職後、医療事務、派遣ナース、訪看、特養施設で勤務し、家庭の事情で退職。現在は在宅ワーカー。

過去のキビシイ職場環境、退職・転職経験から学んだことを、悩み多き看護師に向けて発信しています。

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