看護師は、どんな理由で辞めるにしろ、退職するには相当なエネルギーを要します。
同僚や患者さんのことを考えると申し訳ない気もするし、退職を伝えることさえ勇気がいるし、引留めにあったらそれはそれで苦労するし、、みんなHappyになることを考えると、辞めることが悪いことのように思てくるくらいです。
でも、新しい生活のために退職を決意したら、できる限り円満に、できる限りスムーズに、できる限りストレスフリーに退職したいものですよね。退職することよりも、新しい生活にエネルギーを使いたいのですから。
今回は、主なケース別に退職理由の伝え方や、転職時の退職理由の説明の仕方をご紹介します。簡単な文例をご紹介するので、アレンジして使ってくださいね。
【スッキリ辞めるための退職理由の伝え方のコツ】
- 退職の意思は明確に伝える
- 退職理由は正直に伝える必要はない
- ネガティブな理由は、ポジティブな言い方に変換する
- ウソはつかない
看護師に多い退職理由〜看護業界の闇が丸見え
厚生労働省 看護職員就業状況実態調査結果で、看護師の退職理由が公表されています。笑ってしまうほど納得してしまいました。看護師に多い退職理由は、看護業界の闇そのものな感じです。
看護師に多い退職理由は?
厚生労働省 看護職員就業状況実態調査結果(2022年調査)で、看護師の退職理由が公表されました。複数回答(3つまで)なので、よりわかりやすい・リアルな結果です。
結婚・出産や育児などのライフステージの変化
結婚のため(17.7%)、育児・出産のため(22.1%)と、ライフステージの変化のタイミングでの離職が目立ちます。
職場環境にもよりますが、看護師の肉体的精神的負担の増加に対する本人の努力や調整だけでなく、家族の理解や協力も必要になります。特に、労働時間。本人の努力や工夫だけでは解決しない問題でもあります。
一方で、再就職の際に必要な支援・活用したい制度等では、労働時間に関するものが多いにも関わらず、実際のところは支援や制度の活用ができないのが現状です。
- 時間外労働の免除 49.5%(3.8%)
- 休日労働の免除 44.9%(8.3%)
- 短時間勤務 44.9%(18.1%)
- 夜勤の免除又は夜勤回数の軽減 33.9%(9.7%)
- 病児・病後児保育 20.3%(1.1%)
※( )内が再就職時にに受けた支援・活用した制度等の割合
※主なもの3つまでの複数回答、退職理由に関わらず再就職の際のものなので、全てが出産や育児と関係があるわけではありません
職業柄仕方がないとはいえ、再就職時でも労働時間の壁は大きくて厚いまま。看護業界の闇のひとつですね。
体力面での過度な負担
超過勤務や夜勤など、体力面での負担も離職に繋がります。
若いうちは体力的にもある程度無理もききますが、年齢を重ねると厳しいものもあります。そこに、家庭の問題が加わるとさらに厳しさが増しますね。
- 超過勤務が多いため 10.5%
- 休暇がとれない・とりづらいため 10.3%
- 夜勤の負担が大きいため 9.7%
人間関係
人間関係がよくないことが離職理由になるのが 12.8%。
様々な年代、キャリアがある看護師が働いているので、なんらかのトラブルは生じるものです。しかも、職場環境によっては緊張状態も続く中で、小さくて濃くて逃げようのない関係は、精神的負担が大きくなるものです。人間関係に悩み退職するのは、若手看護師だけではなく、50代などのベテラン看護師でも見られる傾向です。
本人や家族の健康問題
本人や家族の健康問題も退職理由として多く見られます。体力面の負担とも関わりますが、看護職は体力を使う仕事であるため、本人に体調面で不安があると離職に繋がります。家族の健康や介護問題も、体力や労働時間に関わるので離職に繋がりやすくなります。
- 本人の健康問題 8.6%、
- 家族の健康問題・介護 6.9%
現職場に対するなんらかの不満
他施設への興味による退職が15.1%で、退職理由としては多いの方ですが、理由としてはかなりザックリしています、、
給与に不満、教育体制が充実していない、キャリアアップの機会がない、などの退職理由もありますが、このあたりも職場に対するなんらかの不満から離職につながっています。
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看護業界に限らず、どの職種でもライフステージの変化や健康問題、人間関係が退職理由になることが多いのですが、「主な退職理由」は働きにくさに直結するものです。職場環境改善のために声を上げ続けることも必要でしょうが、自らの意思で職場を変える(転職する)ことも重要です。
看護師やスッキリ辞めるための退職理由の伝え方のコツ
すっきり辞めるためには、退職理由として伝える内容も大切ですが、伝え方にもコツがあります。
退職理由は本当のことは言わなくてもいい?
退職理由と言えば、ドラマなどで見かけるのは「一身上の都合により」ですよね。
あれは、現実でも、どの職種でも同じです。退職理由は、必ずしも正直伝える必要はないのです。
そうはいっても、「都合により辞めます」と言ったところで、「そうですか、わかりました」となる可能性は限りなく低く、上司にも同僚にもアレコレ問い詰められるのは必至です。話がこじれたり、複雑にならないように、うまくかわす必要があります。
一方で、退職理由を正直に伝える方が理解を得やすい場合もあります。
ネガティブな理由はポジティブ表現に言い換える
人間関係や待遇に不満がある場合は、特に配慮が必要です。
不平不満をいうことで、無駄に怒られたり、引留めにあったり、中途半端な改善策が提示されることで退職理由がなくなり辞めにくくなることもあります。
環境が改善された場合、退職しないで続けるのであれば、不満ではなく「要望」を伝えてみることは重要です。
一方で、退職の意思が固いのであれば、引留めにあったり、無駄に怒らることのないよう、前向きな理由に変換して伝える方がスムーズな退職につながります。
退職理由に嘘はダメ
退職理由に、嘘はダメです。
一度嘘をつくと、突き通さないといけません。バレないようにと、嘘が塗り重ねられていき、自分の首を絞めることになるのは、誰しも経験はあることと思います。
「親の病気」「家族の転勤」など、引留め用のない理由ならあっさり退職できそうと思っていても、何かのきっかけで嘘がバレると逆に面倒なことにもなります。退職理由の変換とウソは異なります。慎重に言葉を選びましょう。
「退職させていただきます」で正解?
最近の傾向として「〜させていただく」が丁寧語としての正しい表現のような扱いですが、退職する側が遜る(へりくだる)必要はありません。相手に敬意を払った丁寧な表現であれば問題ありません。
【退職の意思が強く引留められたくない場合】
退職いたします
「いたします」はビジネスシーンでも通用する丁寧な表現です。退職に対する強い意思表示にもなります。
退職させていただきます
「〜させていただく」は丁寧な表現と一般的に言われますが、自分の意思を伝える際には過剰な表現とも言えます。
退職します
「退職します」だと、相手によっては無礼な印象を受ける可能性があります。
退職を希望します
「希望」を伝える表現です。退職への意思がまだ固まっていないとも判断されかねませんので、避けましょう。
退職させていただきたいと思います
「させていただきたい」に「思います」までつくと、かなり弱いです。
【退職まで時間的余裕があり日程調整に対応できる場合】
◯月◯日までの退職を希望します
転勤や転居、結婚、出産などの場合には、おおよその勤務の最終日が決まってきます。ある程度の日程調整も可能になるため「希望します」という表現でもいいでしょう。ただし、いつまでに退職したいのかは、はっきり提示しておく必要があります。
看護師がスッキリ辞めるための退職理由の伝え方〜具体例・文例
退職理由別の伝え方を具体的にご紹介します。簡単な文例もご紹介しますので、参考にしてみてください。
結婚・妊娠・育児による退職
比較的理解されやすいのが、結婚や妊娠、育児が退職理由の場合です。
ベテラン看護師には、子育て経験者も多いので、「私の時には、、」と仕事との両立を促される可能性はありますが、退職の意思が強いことを伝えればまず大丈夫ですので、正直に伝える方がいいでしょう。
- この度結婚することとなり、夫の仕事の都合しばらくは家庭に専念したいので退職いたします。
- 子どもを授かり、◯月に出産予定です。家族の仕事の都合もあり、育児に専念したく退職いたします。
- 日頃からご理解とご協力をいただいておりましたが、どうしても育児との両立が厳しく感じています。家族とも相談し、子どもが小さい間は育児に専念いたしたく、退職いたします。
転勤・引越しによる退職
配偶者の転勤や、新居への引越しで通勤が困難になる場合も、理解されやすいです。どの程度離れているかにもよりますが、正直に伝える方がいいでしょう。
- この度、夫(配偶者)の転勤により引越すこととなりました。引越し先からの通勤は困難なため退職いたします。転勤は◯月ですが、準備もあるので○月○日までの退職を希望しております。
体調不良・病気による退職
本人の体調不良が退職理由となる場合、診断書などあれば提出してもいいでしょうが、職業柄面倒になる可能性も高いです。プライバシーにも関わりますので、どこまで具体的にいうかは職場環境や上司との関係によっても異なります。
家族の病気、介護などの場合には、具体的な病名などを伝える必要は特にありません。
いずれにしても、仕事を続けることが困難であり、退職の意思が固いことをはっきり伝える必要があります。
休職や、短時間勤務などで引留められる可能性は高いです。場合によっては、「私の場合は、、」と人生経験豊富な上司から不要なアドバイスや体験談を聞かされた挙句、退職することを非難される可能性もあります。退職の意思が固い場合には、「かえってご迷惑をおかけするので」と、はっきり断りましょう。「持ち帰って考える、、」といった返事だと、退職しにくくなります。
- 体調不調により、現状では業務の継続が難しく、治療に専念するため退職いたします。
- 家族の介護があり、現状では業務の継続が難しく退職いたします。
人間関係・待遇への不満・仕事があわないことによる退職
職場に対する不満や、仕事が合わない・向かないなどネガティブな理由の場合には、いずれにしても、不満を正直に伝えることで円満かつスムーズな退職につながるとは思えません。
むしろ、無駄に怒られる、納得するまで面談が繰り替えされる、話が進まない、改善策を提案されることになり、引留めにあったり、退職する理由がなくなってしまうことがあります。
ネガティブな理由は、前向きな理由に言い換えることをおすすめします。
- 私なりに努力してきましたが、以前から興味のあった○○領域に携わりたいという思いが強くなりました。これまで教えていただいた知識や技術を糧に、△△のある病院に転職を考えておりますので、退職いたします。
- ◯◯の領域のスペシャリストとして知識やスキルを磨いていきたいと考えています。より専門性の高い環境に身を置くためにも、△△の認定看護師の資格取得を目指したく、退職いたします。
すっきり退職するには、「退職を決めた」ことを相手に伝え、理解してもらうことが重要です。
退職するか悩んでいる・決めかねている・迷っているという雰囲気が、言葉や態度から見え隠れすると、うまく進みにくくなります。気を使いすぎず、謙遜しすぎず、不安にならずに、冷静かつ明確に伝えるようにしましょう。
どんな理由であれ、文句を言う人は文句を言うし、応援してくれる人は応援してくれるのです。退職の意思は明確に伝えるに限ります。
看護師の離職率は本当に高いの?
離職率が高いイメージのある看護師ですが、公益社団法人日本看護協会の2021年調査(2022年4月報告)の正規雇用看護職員の離職率は10.6%。ここ10年間の離職率は横ばいで大きな変化はありません。
なお、2022年上半期の産業別入職率・離職率(厚生労働省 令和4年上半期雇用動向調査結果)によると、一般労働者で6.8%、医療・福祉が9.9%。労働者全体と比べると少し高い傾向にはありますが、世間一般で言われるほど劇的に高いものでもありません。
すぐ辞めると言われそう、他の人に迷惑がかかるかも、、など、退職することに後ろめたさを感じることがあるかもしれませんが、明確な理由があって退職したいのであれば、気にする必要はありません。退職するのは看護師のあなただけではありません。看護師以外の人も、同じように退職しているのですから、、
まとめ:大切なのは退職の意思をはっきり伝えること
スッキリ退職するには、退職理由をどう伝えるかは大切です。でも、何よりも大切なのは「退職の意思」が固いことをはっきり伝えること。どんなに言葉を選んで退職理由を並べても、言葉・表情・態度から退職に対する迷いがでていたら、スッキリ退職することは難しくなるものですよ。
【スッキリ辞めるための退職理由の伝え方のコツ】
- 退職の意思は明確に伝える
- 退職理由は正直に伝える必要はない
- ネガティブな理由は、ポジティブな言い方に変換する
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